特殊外来

双極性障害(躁うつ病)外来

当院は、現在、認知症を主に診療していますが、近隣に双極性障害(躁うつ病)を適切に診療する医療機関が無くなってしまったため、双極性障害の診療受け入れを再開することにいたしました。
双極性障害(躁うつ病)は、診断・治療ともに難しいため専門とする医師も少なく、双極性障害と診断されていても適切な治療が行われていないケースや、うつ病と誤診されて抗うつ薬(双極性障害には効果はありません)を投与されている場合もよく目にします。

当院医師は、双極性障害の治療経験が豊富で、症例数は3,000人を上回ります。
もし、双極性障害と診断を受けていても、症状が良くならない場合や、うつ病と診断され長年治療を受けているが症状が良くならない場合で、「もしかしたら双極性障害かも・・・」と思う方は、当院にお問い合わせください。
双極性障害外来は、インターネット予約はご利用できません。必ず当院あて、お電話いただき、双極性障害外来について、まずお問い合わせください。医師が直接、状況をお聞きした上で、初診受付を行います。

双極性障害(躁うつ病)とは

双極性障害とは、下の絵のように、気分の沈み(うつ状態)や、気分の高揚(躁状態)を繰り返す病気です。

普通のうつ病とは違い、遺伝的要因が強いため、何の誘因もなくても発症します。
まず、うつ状態について説明します。うつ状態の気分の落ち込みは短期間で終わることが多いです。中には数時間で自然におさまるという患者さんも見えます。しかし、その気分の落ち込み方は、単に気分が落ち込むという程度ではとどまらず、体がだるくて動けないとか、朝おきたときベッドから起き上がれない、という非常につらいものであることが多いです。このような短期間ではあるものの、強い気分の落ち込みを繰り返します。ただ、「うつ」という気分の落ち込みとしては自覚されず、「体調不良」と感じることも多いため、心の問題と自覚されないことも多くあります。そのために、学校や職場に行けなくなって、休みを繰り返すこともしばしばで、学校の中退や仕事の休業を余儀なくされることもあります。
次に、躁状態について説明します。躁状態では、気分が高ぶって、仕事や勉強、家事などに没頭し、長時間それを続けても平気になります。そのため、仕事や勉強の効率が非常に上がることもあります。また、躁状態では、予定をたくさん入れて様々なことを一度にこなそうという気分になります。しかし、うつ状態と同じく躁状態も長くは続かないので、予定の日が来た時には気力が低下して、入れていた予定を全部キャンセルするといったこともしばしばあります。躁状態においては、仕事や勉強の効率が上がったり、たくさんのことを一気にこなせるので、その時はよいのですが、躁状態のあとには必ず、エネルギー切れになって、うつ状態がやってきます。そのため、躁状態は気分が良くなったり、仕事の能率が上がるからと言って、良いものとは言えません。
双極性障害の平均発病年齢は、19歳頃と言われています。しかし、発病当初はうつ状態を繰り返すばかりで、躁状態が無いことの方が多いです。躁状態は平均28歳頃から現れるといわれています。そのため、若い方は、躁状態がなく、うつ状態を繰り返すのみなので、うつ病と診断されてしますことも多いのが実情です。

また、躁状態がある場合でも、躁状態は気分が良い状態であるため、患者さん自身にとっては何の問題もないことから、病院に行っても躁状態があることを自ら医師に述べることはほとんどありません。2型と呼ばれる最も多いタイプの双極性障害では、躁状態よりも、うつ状態の方が圧倒的に多いことも理由です(だいたい、躁が1割、うつが9割と考えてください)。そして、他の診療科と異なり、精神科は検査が何もないため、うつ病と誤診されてしまうことが多くみられるのです。
いろいろ書きましたが、双極性障害は、ひとことで言えば、気分の浮き沈みの病気です。人間は気分で行動するため、うつ状態になって仕事を失ったり、躁状態になって失敗をやらかしてしまったりすることから人生が不安定化します。また、上記のようにうつ状態は、普通のうつ病に比べて、落ち込みの程度が非常に強く、しかもそれを繰り返すため、自殺率が高い病気です。双極性障害と分かったならば、適切な治療を行わなければなりません。